シニア世代の骨折の多くの場合は骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という病気が原因となります。骨粗鬆症は骨がもろくなり、骨折の リスクが高くなる状態をいいます。骨の強度(骨の丈夫さ)は骨密度(骨量)と骨質の2つの要因からなるといわれます。女性の場合、閉経により女性ホルモンが減少すると骨吸収が盛んになり、骨密度が急速に低下して骨密度が若い人の70%未満になると、骨粗鬆症と診断されます。骨密度の低下が進むと骨がもろくなり容易に骨折を起こしやすくなります。
骨粗鬆症は骨密度の低下が進むとカラダの骨がもろくなり、簡単に骨折を起こしやすくなります。脊椎圧迫骨折・上腕骨近位端骨折(肩関節)・橈骨遠位端骨折(手関節)・大腿骨頸部骨折(股関節)が骨粗鬆症起因による4 大骨折といわれてます。
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そんな4大骨折を以下のようにまとめました。

1️⃣ 脊椎圧迫骨折
骨粗鬆症の患者さんの骨はもろく弱くなって脆弱(ぜいじゃく)化しているため、軽微な力でも圧迫骨折が生じます。多くは尻もちや転倒で椎体の前面に力が加わり椎体がくさび状に変形します。特に第10胸椎から第2腰椎あたりの胸腰椎移行部といわれる部位が骨折しやすくなります。
骨粗鬆症の方は骨がもろくなっているため、日常の何気ない行動で骨折する可能性があります。したがって骨折しても強い痛みがなく、骨折自体に気がつかない方も多くいます。そんな方は何かのきっかけで単純X線(レントゲン)撮影を行って初めて骨折に気がつくことがあります。したがって、圧迫骨折の患者さんは痛みがある人ばかりでなく、中にはあまり痛みを感じない方もいます。しかし、骨折した椎体は元に戻ることはありません。痛みが無いからといってそのまま放置しておくと段々と椎体全体のバランスが崩れて、体への負担が大きくなり症状が強くなってきます。
脊椎圧迫骨折とその画像の詳細は下記の関連記事をご覧ください。
2️⃣ 上腕骨近位端骨折

上腕骨は肩関節と肘関節をつなぐ長く伸びた管状の骨になります。上腕骨近位端骨折は下図の赤丸内のように上腕骨の肩関節に近い部位の骨折をいいます。上腕骨近位端骨折は全骨折の5%といわれており、比較的頻度の高い骨折になりますが、多くの場合は骨粗鬆症で骨がもろくなっていることが原因となります。シニア世代の女性が転倒などで手をついたときに容易に骨折しやすくなります。
上腕骨近位端骨折は骨のズレ(転位)が少ない非転位型骨折と骨のズレ(転位)が大きい転位型骨折に大きく分けられます。骨のズレ(転位)が小さければ治りやすく、骨のズレ(転位)大きければ手術する必要がありますので、治療方法や予後も変わってきます。
上腕骨近位端骨折とその画像の詳細は下記の関連記事をご覧ください。
3️⃣ 橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
橈骨は前腕を構成している2本の骨のうちの拇指側の骨をいい、その手首近くの骨折を橈骨遠位端骨折といいます。転んで手をつくことにより強い痛みとともに急に手首が腫れてきたらこの骨折が疑われます。骨折の中でも比較的多く見られる骨折ですが、橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症のシニア世代の女性に多い骨折です。転んで手をつくことにより強い痛みや手首が腫れてきた上に、フォーク状に変形が見られれば容易に橈骨遠位端骨折がつきます。しかし、橈骨遠位端骨折も他の病気と同じように重症度があり、重症度により治療方針も変わってきます。
橈骨遠位端骨折とその画像の詳細は下記の関連記事をご覧ください。
4️⃣ 大腿骨頸部骨折
シニア世代が転倒などで臀部を強打して脚の付け根(股関節)の痛みで動けなくなったときにまず疑うのが大腿骨頸部骨折です。この骨折の多くの場合骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という病気が原因となります。
大腿骨頸部骨折は骨折する部位により股関節の関節包の中で骨折する内側骨折と、股関節の少し膝よりで関節包の外で骨折する外側骨折に大きく分けられます。
大腿骨骨頭と頸部は回旋動脈という血管で栄養されていますが、内側骨折の時に損傷されることが多く、血流障害を起こしやすくなります。血流障害を起こすと大腿骨頭壊死を起こして骨頭が陥没するなど、とても治りが悪くなります。関節包の外側で起こる外側骨折は骨折部の血流も良好で内側と比べると治りやすい骨折になります。このように同じ大腿骨頸部骨折でも内側と外側では治療方法も予後も大きく異なります。
脊椎骨折・橈骨遠位端骨折(手関節)・上腕骨近位端骨折(肩関節)にならんで大腿骨頸部骨折(股関節)が骨粗鬆症起因による4 大骨折といわれてます。ただ、大腿骨頸部骨折が他の3種類の骨折と違うのは、手術を行わないと再び歩くことができないということです。そのままだと骨折により寝たきりになり、人が健康に生活ができる年齢である健康寿命を大幅に縮める要因になります。
大腿骨頸部骨折の詳細は下記の関連記事をご覧ください。
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