若い女性の手関節の周囲によくできる腫瘤にガングリオンと呼ばれるものがあります。豆粒大の小さいものから、大きいものではピンポン球くらいになるものまであります。ガングリオンは内容物がゼリー状で、特に手首・手関節の背側によく出来る腫瘤です。腫瘍ではありません。
腫瘤は腫れ物やシコリのことに対して、腫瘍は体の臓器の一部に塊(かたまり)ができている状態です
目次
ガングリオン
ガングリオンは関節包(かんせつほう)や腱鞘(けんしょう)に発生し、手首や膝、足関節にできる比較的頻度の高い腫瘤になります。もっともできやすいのが手首の背側(甲側)になります。手の指の付け根や指の第1関節(DIP関節)などでもよく見られます。ガンクリオンは関節包という関節を包むふくろや、腱鞘という筋肉を骨に付着させる腱を包んでいるふくろの部分にできます。ガングリオンと関節包と腱鞘は長い茎でつながっており、関節液や滑液がガングリオンの送られて、濃縮されてゼリー状の内容物になる腫瘤です。10〜20代の女性に多く発病します(女性は男性の3倍)
手首に発生したガングリオンの茎 イメージ像

症状
ガングリオンは皮膚の表面が円形に盛り上がっており、表面から押すとゴムのような弾力があるもの多くあります。通常無症状ですが、ガングリオンが神経や血管を圧迫する場所にできると痛みやしびれが出る場合があります。
原因
外傷によるものや手の酷使によるものなどの説がありますが、ハッキリした原因はよくわからないそうです。
画像検査
穿刺して黄色なゼリー状の内容物が引けたらガングリオンと診断します。穿刺前に超音波(エコー)検査やMRI検査で腫瘤の状態を確認します。特に小さなガングリオンに対してMRIや超音波(エコー)検査は有用となります。
MRI検査
ガングリオンなどの軟部組織は単純X線(レントゲン)撮影では描出できませんが、MRI検査では診断が可能となります。

手関節MRI 横断像 T2強調画像 ガングリオン イメージ像
ガングリオンはT2強調画像で明瞭な高信号(白く写る)呈する嚢胞(のうほう)性病変の信号パターンになります(下図赤丸)
超音波(エコー)検査
超音波(エコー)検査もガンクリオンなどの軟部組織を描出することができます。MRIと比べると装置もコンパクトな上に特別な検査室は不要となり、取り扱いが簡便であることが大きなメリットとなります。
超音波(エコー)検査はプローブと呼ばれる探触子から超音波ビームを発信し、体内で反射してきた超音波を受信して画像にします。反射は組織により異なり、反射が少なくて黒っぽく写る部分を低エコーといいます。反対に、反射が多くて白っぽく写る部分を高エコーといいます。

手関節背側 超音波(エコー)検査 ガングリオン イメージ像
ガングリオンの内部はゼリー状の液体成分なので超音波の反射は少なく、下図の赤丸内のように低エコー(黒っぽく)に写ります
まとめ
ガングリオンは良性な腫瘤なので日常生活に支障なければそのまま放っておいても構わないそうです。しかし、痛みがある場合や大きさが大きくなったりすると見た目もありますので専門医への受診をオススメします。では、ガングリオンは何科に受診したら良いのでしょうか?皮膚のシコリだから皮膚科と考えがちでありますが、正解は整形外科になります。お間違いのないように。
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