野球選手の手首のケガ 「有鈎骨(ゆうこうこつ)」骨折とその画像

手首の痛み

手首のスポーツ外傷で起きやすいケガの一つに有鈎骨(ゆうこうこつ)骨折があります。手首は手根骨と言われる有鈎骨含めて8つの骨で構成されてます。

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有鈎骨骨折

有鈎骨は下図のように手首の内側(小指側)に位置する骨になります。この有鈎骨は手のひら側に有鈎骨鈎(ゆうこうこつこう)と呼ばれるツノのような突起が存在する特殊な骨で、この突起が急激な外力などで折れてしまうことがあります。これが有鈎骨骨折となります。

手首正面から見た有鈎骨

有鈎骨

手首側面から見た有鈎骨と有鈎骨鈎

有鈎骨鈎

有鈎骨はあまり聞きなれない骨ではないでしょうか?しかしこの骨の骨折は野球などのスポーツでよく起こりうるケガになります。プロ野球の世界ではこの病気になる選手が多く、プロ野球選手の職業病とまで言われてます。巨人の原監督も現役時代この病気になりました。また、最近では北海道日本ハムファイターズ期待の星「清宮選手」もオープン戦のバッティングで右手を痛め、有鈎骨骨折と診断されました。このように多くのプロ野球選手の強打者が有鈎骨骨折に苦しめられています。

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2018年10月4日

原因

野球のバッティングでバットのグリップにあたる部分が有鈎骨になります(下図の赤丸内)。ジャストミートしている時はグリップに力がかからないため骨折することはほとんどないそうです。多くの場合ファウルなど打ち損じた時にバットの負荷がもろにグリップにかかるため、有鈎骨が骨折しやすくなります。グリップにあたる側がケガをしますので、右打者は左手側を、左打者は右手側をケガしやすくなります。

バッテイング

野球だけでなく、ゴルフやテニスでもクラブやラケットの強いスイングで柄の部分の衝撃が有鈎骨に加わり、有鈎骨鈎が骨折することがあります。
また、スイングを繰り返す長い年月の蓄積によって疲労骨折する場合があります。

症状

有鈎骨骨折は手首の痛み、腫脹(腫れ)、熱ぽく感じる熱感などが主な症状となります。疲労骨折の場合は急激な痛みが出る前から多少の痛みや違和感が生じていることが多いようです。
さらに有鈎骨は尺骨神経と接しているため、骨折に伴って尺骨神経障害が合併することがあります。尺骨神経は手の小指、薬指の小指側の知覚をつかさどっている神経です。この神経が障害されると下図のように薬指の一部と小指がしびれて感覚が鈍くなることがあります。
手のしびれ

 

画像検査

 

単純X線(レントゲン)撮影

手根骨は8つの骨からなり、近位(カラダに近い側)には外側(拇指)から内側(小指)に向かって、舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨が並んで近位手根骨を構成してます。また、遠位(カラダに遠い側)は大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、そして有鈎骨が並んで遠位手根骨を構成してます。

手関節正面 イメージ像

手根骨

手根骨 軸位撮影のポジションとイメージ像

有鈎骨の突起である有鈎骨鈎を描出するには、下図のような手関節の軸位撮影が適しています。しかし、通常有鈎骨は基部より1/3のあたりで骨折が起こりやすく、単純X線(レントゲン)撮影では描出しにくい骨折になります。さらに有鈎骨骨折がある場合、痛みで有鈎骨が描出しやすい手首を背屈させる下図のような軸位のポジションが取りにくくなるのも、単純X線(レントゲン)撮影で描出が難しくなる要因となります。

手根骨
手根骨

手根骨軸位撮影 有鈎骨骨折イメージ像

赤丸内の有鈎骨鈎に骨折が認められます。
手根骨

CT検査

有鈎骨骨折は大きなズレがない限り単純X線(レントゲン)撮影では描出が難しいことが多いため、骨折の疑いがある場合はCT検査を行います。
CT
CT検査で連続的に撮影した横断像の2次元画像によりMPRという画像処理を行い、手首の任意の断面を作成することによって有鈎骨の病変を正確に評価することができます。特に有鈎骨鈎の描出には横断像と矢状断像での画像作成が有効になります。

MPR
「multi-planar reconstruction, multi planar reconstruction」の略で、撮影後の画像再構成処理により、横断像、冠状断像、矢状断像の基本的な3方向以外にも自由自在に体の断面像を作成することができます。

CT 横断像 有鈎骨骨折イメージ像

CT
CT

CT 矢状断像 有鈎骨骨折イメージ像

手関節CT 有鈎骨CT

MPR処理により任意方向から画像作成することにより骨折線を描出することが可能になります(赤丸)。

まとめ

有鈎骨の骨折は野球などのスポーツ外傷の中ではよく起こりうるケガになります。特にプロ野球では職業病と言われるくらい歴代のスラッガーがこの病気に苦しめられています。

アマチュアでも、野球やゴルフ、テニスなどのスポーツ時にバットやクラブ、ラケットを持つ手首の内側(小指側)が痛くなったり、手の薬指の一部と小指がしびれる事があるようでしたら有鈎骨骨折の疑いがあるかもしれません。一度専門医への受診をお勧めします。

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2019年3月21日

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