外側型の「野球肘」離断性骨軟骨炎とその画像

ピッチャー 肘痛

「野球肘」という病気をよく耳にすると思います。野球の繰り返す投球動作により肘を痛めるスポーツ障害の総称で、ほとんどピッチャーが受傷します。実は野球肘は一つの病名を指すのではなく、靭帯や軟骨損傷、離断性骨軟骨炎など複数の病名を包括した病態のことをいいます。野球肘は障害の部位から内側型と外側型、後方型に分類されます。その中で内側型の内側側副靱帯損傷によるものと、外側型の離断性骨軟骨炎によるものが主な野球肘の原因になります。

内側型野球肘 内側側副靭帯損傷

内側型野球肘はプロ野球選手など野球歴の長い方が多く発症し、肘関節を構成する靭帯が損傷することにより肘の内側に痛みが発生します。ピッチャーが投球動作によって肘の内側に離れようとする力が繰り返しかかることによって、骨と骨をつなぐ内側側副靭帯が損傷されます。大リーグ エンゼルスの大谷選手が受傷し、手術したのはこの内側側副靱帯であります。

大谷選手も損傷 内側型の「野球肘」内側側副靱帯損傷とその画像

2018年10月4日

内側側副靱帯損傷イメージ像

肘の内側側副靱帯の損傷は、野球の投球動作の繰り返しで下図の赤矢印のような「牽引力」により内側の靭帯が引っ張られて損傷します。

肘

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外側型野球肘 離脱性骨軟骨炎

原因

肘や膝などの関節は同じ部位に繰り返しストレスなどの外圧が加わると、関節の軟骨や骨が血流障害を受けます。血流障害を受けると骨が壊死し、骨とそこに付着する軟骨が傷ついたり、はがれたりします。病気が進むとそのかけらが関節内で遊離体(関節ねずみといいます)として浮遊し、これが原因で関節の引っかかりや関節が伸ばせなくなる可動制限(ロッキングといいます)がかかることがあります。このような病気を離断性骨軟骨炎といいます。
肘は膝と並んでスポーツによる強い負荷を繰り返し受ける場所ですので、離断性骨軟骨炎の好発部位といわれてます。その中でも代表的な病気の一つに「野球肘」があります。

離断性骨軟骨炎 イメージ像

外側型野球肘は肘の外側に発生し、肘の上の上腕骨と下の橈骨(とうこつ)が、投球動作で青矢印のような外反ストレスつまりぶつかる力がかかり続けることで、上腕骨小頭の骨の表面にある関節軟骨を傷つけていきます(青丸)。離断性骨軟骨炎は病気名に「炎」が付いてますが実際は炎症ではなく、軟骨の骨折ともいえる病気になります。

肘

軟骨の働き
軟骨は水分を含んだスポンジのようになって、関節が受ける衝撃を吸収したり、骨と骨の直接の摩擦を防ぐ働きがあります。

肘関節の関節軟骨(正面)

肘

症状

内側型野球肘は野球競技歴が長い方に発病するのに対して、外側型野球肘は成長期の少年が発病しやすくなります。というのも成長期の少年の軟骨は大人と比べてもろいため離断性骨軟骨炎を発病しやすくなります。
野球肘を発病すると、ピッチング時に肘に痛みが起きます。内側型と外側型など損傷した部位で痛みが出る部位が異なりますが、痛みが強くなると肘が伸ばせなくなり可動制限がかかります。

画像検査

単純X線(レントゲン)撮影

肘の痛みで病院や診療所を受診するとまず単純X線(レントゲン)撮影をし、肘関節の状態を確認します。基本的に正面と側面の2方向を撮影します。

肘関節 正面 イメージ像

肘

肘関節 側面 イメージ像

肘関節

 

病期別 単純X線(レントゲン)撮影イメージ像

離断性骨軟骨炎の病気の広がり具合、つまり病期は透亮期分離期および遊離期に分類されます。この病気は透亮期→分離期→遊離期へと進行していきます。

透亮期

肘の外側の上腕骨小頭に関節面に接してX線上黒く抜ける透亮像といわれる骨の異常陰影が認められます(赤丸)。

肘

分離期

病気進むと透亮像内に骨硬化をともなった赤矢印のような小骨片が出現します。小骨片と母床との隔離像が明瞭になると保存的な治療は難しくなるそうです。

ひじ

遊離期

さらに病気が進むとその小骨片のかけらが関節内で遊離体(関節ねずみ)として浮遊します(赤矢印)。このかけらが関節にハマったりする、激痛とともに肘が伸ばせなくなるロッキングを起こします。
肘

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CT検査

CT

連続的に撮影した2次元画像をワークステーションという装置で画像処理を行い、関節の骨を強調したボリュームレンダリング法(VR法)と言われる3次元表示(VR像)で離断性骨軟骨炎の評価を行います。

肘関節CT 3次元表示(VR像) 離断性骨軟骨炎 イメージ像

上腕骨小頭に分離像が認められます。CT検査は離断骨片の大きさ等を知るのに大切になります。
肘

MRI検査

肘MRI
MRI検査では離断性骨軟骨炎の大きさを見るよりも、病変の広がりなど病期の判定に使われます。

MRI検査のT2強調像やT2*強調画像では通常靭帯や腱などは低信号(黒く写る)に描出されます。断裂や損傷、炎症などがある場合はその部位が高信号(白く写る)に描出されます。

T2*強調画像 冠状断 離断性骨軟骨炎イメージ像

上腕骨小頭に高信号(白く写る)が認められます(赤丸)。

肘

超音波検査(エコー検査)

近年では超音波検査(エコー検査)により骨軟骨病変の早期発見が注目されてます。超音波検査(エコー検査)では軟骨像および遊離骨片などを観察して評価することが可能となります。

超音波検査(エコー検査) 離断性骨軟骨炎 イメージ像

肘超音波画像

まとめ

外側が痛むタイプの野球肘は内側が痛むタイプよりも重症化になるケースが多いそうです。それは初期はほとんど症状が出なく、痛みが出た時は症状がかなり悪化しいるためです。離断性骨軟骨炎は早期に診断をつけ、治療を始めることが最も大切となります。ご本人含めご家族の方で思い当たるフシのある方はスポーツ整形外科などの専門医への受診をオススメします。

肘痛

「肘の痛み」とその画像のまとめ

2019年2月19日

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