運動時の膝関節 前十字靭帯損傷とその画像

膝痛 膝痛

膝関節の靭帯は内側側副靭帯・外側側副靭帯と前十字靭帯・後十字靭帯があります。膝関節の内側に内側側副靱帯があり、膝が内側にブレる動きを抑制し、外側の外側側副靭帯は膝が外側にブレる動きを抑制して膝関節の側方向の安定性を担います。前十字靭帯は下腿の脛骨が前方にブレる動きを抑制します。後十字靭帯は反対に下腿の脛骨が後方にブレる動きを抑制してこれら4本の靭帯で膝関節の安定性を担います。

運動時における膝関節の側副靭帯損傷の画像について

2019年1月26日

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前十字靭帯損傷

膝の靭帯損傷は内側側副靱帯が一番多く、その次に前十字靭帯が多いといわれてます。ただ内側側副靱帯は自己修復能力があるため、多くの場合は保存的治療で治癒して手術になるケースは少ないといわれてます。前十字靭帯の場合損傷した靭帯は自然に繋がることはなく、そのままに放っておくと膝の不安定性と不安感が残り、運動による障害の中で最も重症度が高い病気となります。日常生活は普通に1出来てもスポーツ活動は致命的になることもあり、このケガが原因で復帰できなかった人がたくさんいます。スポーツを継続する場合は靭帯再建する手術が必要となります。

前十字靭帯・後十字靭帯

後十字靭帯は前十字靭帯に比べては太く損傷しにくい靭帯になります。前十字靱帯と後十字靭帯の損傷する割合は8:2と圧倒的に前十字靭帯が多くなります。後十字靭帯の場合、断裂しても日常生活や運動に支障をきたすことが少ないため、保存的治療になることが多いと言われます。したがって臨床上重要なのは前十字靭帯になります。

前十字靭帯・後十字靭帯  横から見たイメージ像

原因

前十字靭帯は下腿の前方移動等を防止している靭帯で、下腿が前方へ強く引っ張られたりすると断裂を起こします。スポーツ種目では、バスケットボール、サッカー、ラグビー、スキー、バレーボール、などでよくみられます。

前十字靭帯損傷 イメージ像

下腿が赤矢印のように前方へ強い力で引っ張られると前十字靭帯が断裂を起こします(赤丸)。

症状

スポーツ中膝に負荷がかかり、前十字靭帯が断裂するとブチッとした音がしたり、膝がぬける、膝はずれるような不安定感になります。ケガ受傷後の急性期は関節内に出血などで膝が腫れたりしてきます。ただ、半月板断裂や他の靭帯損傷がなく前十字靭帯単体の断裂の場合は比較的痛みがないようです。

画像診断

膝の前十字靭帯損傷疑いの画像検査は通常最初に単純X線(レントゲン)撮影を行い、必要があればMRI検査を行います。

腹部CT画像

レントゲンやCT、MRIなどの画像の左右を考える

2019年1月17日

単純X線(レントゲン)撮影

膝の痛みで病院や診療所を受診すると他の膝痛の病気と同じく、まず単純X線(レントゲン)撮影をします。前十字靭帯は残念ながら単純X線(レントゲン)撮影で直接描出することはできません。ではなぜ単純X線(レントゲン)撮影を行うかといえば、膝関節のケガの場合に骨折などの可能性もあります。したがって前十字靭帯損傷を疑った場合、単純X線(レントゲン)撮影でそれらの病気との鑑別をします。基本的に正面と側面の2方向を撮影します。

膝関節 正面撮影によるX線イメージ像

膝

膝関節側面撮影によるX線イメージ像

ストレス(負荷)X線撮影

前十字靭帯は単純X線(レントゲン)撮影では直接描出することはできません。しかし、患者さんの膝に赤矢印のようにストレスをかけたままの状態で膝の単純X線(レントゲン)撮影することにより、下腿の脛骨の移動で間接的に前十字靭帯損傷を診断することができます。ただ、多くの側副靭帯損傷はMRI検査で診断がつくため、最近ではあまり実施されなくなりました。

ストレスX線撮影 前十字靭帯断裂イメージ像

下腿を前方に引き出すストレスをかけると、前十字靭帯が断裂している場合は脛骨が正常の位置より前方に移動します。

MRI検査

靭帯損傷の確定診断をつけるにはMRI検査を行う必要があります。靭帯損傷や合併する半月板断裂の診断には必須の検査となってます。

MRI装置

MRIは強い磁場の中に身体をおき、電磁波(RFパルス)を繰り返し人体に照射して画像を撮像します。この電磁波送信の繰り返しによって、人体の水素原子から信号が放出され、この微弱な信号をMRI用コイルで受信し、コンピューター処理することでMRI画像を作ります。

MRI

膝用コイル

人体の水素原子から微弱な信号を受信するため、頭部なら頭部用、脊椎なら脊椎用、そして膝用などの各部位専用コイルを使用することにより高精細な画像を撮像することができます。
膝コイル

 

MRI画像

膝のMRI検査は基本的に冠状断矢状断プロトン密度強調画像とT2*強調画像(ティー・ツー・スター強調画像といいます)を撮像します。関節などの検査で半月板や靭帯、腱などを見る場合はT2*強調画像で撮像する事が多くなります。

MRI検査では通常半月板や靭帯、腱などは低信号(黒く写る)に描出されます。断裂や損傷がある場合はその部位が高信号(白く写る)に描出されます。
*はアスタリスクっていう記号でスターと読みます。

矢状断 プロトン密度強調像  前十字靭帯損傷 イメージ像

前十字靭帯は断裂しており、その連続性を追うことができません(赤丸)。

矢状断 T2*強調画像 前十字靭帯損傷 イメージ像

前十字靭帯は断裂しており、その連続性を追うことができません(赤丸)。

MRI画像

まとめ

前十字靭帯は損傷した場合靭帯は自然に繋がることはなく、そのままに放っておくと膝の不安定性と不安感が残り、膝がガクッとずれる「膝くずれ」を繰り返します。膝くずれを繰り返すことにより半月板や関節軟骨を痛める恐れがあります。

膝を痛めて、数週間たっても「膝がグラグラする」、「膝が抜けるような感覚がある」などの自覚がある方は前十字靭帯損傷かもしれません。思い当たる方は是非整形外科などの専門医への受診をオススメします。

膝痛

運動などでおこる「膝の痛み」とその画像のまとめ

2019年1月10日

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