単純X線(レントゲン)画像やCT、MRI画像の右と左の表示にはルールがあります。ただ、それは一般の方とドクターや我々放射線技師などの医療従事者とは認識が大きく違います。
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単純X線(レントゲン)画像の左右は?
下図は胸部のX線画像のイメージ像です。カラダの左側にある心臓が画像上は向かって右側に写ります。したがって、患者さんの右側が画像の左側に描出されます。このルールは胸部だけでなくその他の部位にもあてはまります。

どうですか?皆さんが思っている方向とは左右反対ではないでしょうか?
例えばご本人やご家族の病気の説明をドクターから画像を指しながらあったとしても、一般の方は画像の右側に左肺が写っているなんて普通知りませんので、患者さんが思っている方向とは左右反対方向を指している場合が多いと思います。


ではどうしてこうなったかといえば、答えは簡単でドクターが患者さんと向かい合って診察するのにあたり、レントゲン画像を自分の視点に合わせたためだそうです。
例外な部位
実は手と足を撮影するときは上記のルールは当てはまりません。下図のように両手を撮影した場合、画像の右側に患者さんの右側が、画像の左側に患者さんの左側が写ります。上記のルールとは反対方向で見ます。


CTとMRIの左右は
CTやMRIも、画像の向きは、単純X線(レントゲン)画像と同じくで、画面の向かって左側が患者さんの右側になります。また画像の上が前面で、画像の下が背面になります。
腹部CTイメージ像
肝臓はその多くの部分がカラダの右側にありますが、画像上は左側に描出されます。また、右の腎臓は画像の左側、左側の腎臓は画像の右側に写りますので、一般の方は注意が必要です。

これは言い換えれば、下図のように患者さんを足の方から眺めているような断面図になるからです。

上図の頭部CTのイメージ像です。紫色の断面を赤矢印のように下からから見ていますので、CT画像の左側が患者さんの右側、画像の右側が患者さんの左側になります。

CT黎明期の見方
1972年に世界最初のX線CTが実用化されました。イギリスのEMI社から発売されたことで、「EMIスキャナー」と呼ばれてました。医療の歴史を塗り替えたEMIスキャナーは頭部専用装置でした。そのためCTの黎明期は脳神経外科領域でその威力を発揮しました。その脳外科医が手術の時は頭側から見るため、画面の向かって左が、患者さんの左と、頭から眺めるような向きで撮影を行ってました。その後全身用のCTが登場すると、最初は頭部のみ頭側から眺めるような向きで撮影を行い、その他の部位に関しては体の下側から眺めるように画像をつくるといった非常に分かりにくい画像の見方をしていた時代もありました。
まとめ 現在の見方
今ではMRIや他科のCTと向きが異なるため、混乱を避けるため、20年くらい前から全科共通で、患者さんの足の方から見た向きに統一されました。
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