突然の激しい頭痛 !クモ膜下出血の画像について シニア世代の脳卒中

頭痛 脳卒中

脳卒中はガン、心臓疾患とならんで日本人の3大死亡原因になります。では脳卒中とはどのような病気なのでしょうか?

脳卒中とは

脳卒中とは脳の血管がつまったり、破れたりして脳に血液が届かなくなる血液循環障害による症状のことをいいます。原因は脳血管が詰まる「脳梗塞」、脳血管が破れる「脳出血」、脳血管のコブが破れる「クモ膜下出血」そして一時的に脳梗塞の症状が出る一過性脳虚血発作(TIAといいます)の4種類に分類されます。

脳卒中

シニア世代 「脳卒中」とその画像のまとめ

2019年1月10日

クモ膜下出血

そのなかでも最も恐ろしいと言われるのがくも膜下出血で、くも膜下出血で病院に搬送されても3分の1はお亡くなりなり、3分の1は何らかな後遺症が残り、発症前の生活に戻れる確率は3分の1程度との報告もあります。病院などではくも膜下出血をよくSAH(ザー)と言います。

クモ膜下出血の原因

その怖いクモ膜下出血の90%近くが脳動脈瘤の破裂が原因となります。脳動脈瘤とは血管の一部がコブ状に膨れるもので、血管の枝分かれする部位にできやすくなります。その脳動脈瘤が突然破裂することによってクモ膜下出血が起こります。ただ、脳動脈瘤は日本人の場合3〜5%の人が存在するとの報告もあり、ほとんどの人は気がつかないまま一生を終えるそうですので、脳動脈瘤があるからといって必ず破裂するものではありません。脳動脈瘤破裂の危険因子として高血圧・喫煙・多量の飲酒、家族歴などが言われています。

クモ膜下出血は50〜60才代のシニア世代が多く、男女比は2:1で女性に多く発病します。脳動脈瘤が破裂すると、脳の表面を覆うクモ膜という薄い膜の内側に出血します。クモ膜下出血は脳卒中の中でも死亡率が高く、とても重症な病気です。たとえ発病して助かったとしても後遺症が残ることが多くとても怖い病気になります。

クモ膜下出血の症状

突然今まで経験したことがないようなの頭痛、例えばハンマーで頭を殴られるような激しい頭痛が典型的な症状になります。

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画像検査

クモ膜下出血の疑いがある場合はまず頭部単純CTを緊急で撮影します。頭部単純CTによってクモ膜下出血が認められたら、その原因、つまり破裂した脳動脈瘤部位を検索する検査を行います。クモ膜下出血の原因である脳動脈瘤の検査は脳の血管を描出する、造影剤を使用したCT血管撮影法(CTアンギオ:CTA)、MR血管撮像法(MRA)、そして脳の血管にカテーテルを挿入して直接造影剤を挿入して検査する血管撮影(アンギオ)があります。

頭部単純CT


出血がクモ膜下腔及び血腫に一致した高吸収域(白く写る)が認められ、ほとんどのクモ膜下出血は頭部単純CTで診断がつきます。ただ、時間との経過とともに診断率は低下します。

頭部単純CT 正常イメージ像

CT撮影位置
CT画像

頭部CT  クモ膜下出血イメージ像

頭部単純CTでクモ膜下出血は髄液槽に沿って高吸収域(白い部分)に写ります。下図のクモ膜下出血イメージ像では脳底槽五角形(ペンタゴンといいます)が赤矢印のように出血がヒトデ形に白く映るのが特徴です。
CT画像

頭部CTアンギオ(CTA)

頭部単純CTでクモ膜下出血が認められたら、出血の原因である破裂した脳動脈瘤の部位を検索するため、造影剤を使ってCTを撮影するCTアンギオ(CTA)を施行します。CTアンギオ(CTA)により連続的に撮影した2次元画像をワークステーションという装置で画像処理を行い、造影された血管などを強調したボリュームレンダリング法(VR法)と言われる3次元表示(VR像)します。一般的には3次元表示といえばVR像の印象が強いですが、他にMIP画像があります。

VR像はワークステーションの操作で上下左右いろいろな方向から血管を観察することにより脳動脈瘤を検索することができます。動脈瘤を立体的に観察することは治療方針を立てる上でとても大切になります。最近の技術の進歩により血管撮影(アンギオ)にかなり近ずいた画像性能になってきました。

頭部CTアンギオ(CTA) 脳動脈瘤3次元画像(VR像)イメージ像

右中大脳動脈に脳動脈瘤を認めます(赤矢印)。
CTアンギオ画像

頭部MRA(MR血管撮像法)

MRI
通常クモ膜下出血の急性期におけるMRI検査はCT検査より劣るとされてます。ただ、造影剤を使用しないで脳血管を描出するMR血管撮像法(MRA)は現在画像精度もかなり向上しております。さらに以前のMR血管撮像法(MRA)は検査時間が長かったのですが、現在は技術の進歩でかなり検査時間の短縮が図られております。ただ、MR検査は患者さんの動きに弱いのが弱点であります。救急等の患者さんで体動が強い患者さんなどは精度の高い検査ができない可能性があります。また、体内に金属が入っている人やペースメーカー挿入者は検査が禁忌となっていますので注意が必要です。

脳CTアンギオ(CTA)は脳動脈瘤検索において精度の高い検査が短時間で可能ですが、造影剤を使うため腎機能が悪い方やヨード過敏症などの造影剤アレルギーがある方は脳CTアンギオ(CTA)検査はできません。そのような場合は造影剤を使用しないMRA検査を行うことになります。

頭部MRA 脳動脈瘤 イメージ像

MRA では血管の形態をより強調するため3次元表示方法はCTAのようなVR像ではなくMIP処理が行われます。必要に応じてVR像を追加作成します。

MIP処理
連続的に撮影した2次元画像を最大値投影法(MIP)という画像処理を行い、造影された血管などを強調して表示します。
右中大脳動脈に脳動脈瘤を認めます(赤矢印)。
MRA画像

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血管撮影(アンギオ)

アンギオ
頭部の血管撮影(アンギオ)はカテーテルという細いチューブを鼠蹊(そけい)部などから頭部の血管までおくり、造影剤を使用して頭部の血管を直接造影します。以前は頭部単純CTでクモ膜下出血を確認したなら、血管撮影(アンギオ)で出血原因である脳動脈瘤の破裂部位の検索を行ってました。しかし、現在では頭部CTアンギオ(CTA)やMR血管撮像法(MRA)の検査精度が向上しているうえに低侵襲で短時間に検査ができるため、血管撮影(アンギオ)は診断目的だけの血管撮影は減少の一途をたどっています。

頭部血管撮影(アンギオ)脳動脈瘤 イメージ像

右中大脳動脈に脳動脈瘤を認めます(赤矢印)。
アンギオ画像
では、血管撮影が全く行われなくなったかといえばそんなことはなく、現在では血管撮影は検査目的の代わりに開頭の手術をしないでカテーテルを通じて脳動脈瘤をコイルで詰めたりして治療するなどのIVR(インターベンショナルラジオロジー)という診断から治療の方法へと生まれ変わって、ますます発展しています。

まとめ

クモ膜下出血の原因である脳動脈瘤は日本人の場合3〜5%の人が存在するとの報告もあります。脳動脈瘤があるからといって必ず破裂するものではありませんが、破裂してクモ膜下出血を発病すると重篤な病気になります。脳血管撮像法(MRA)は脳ドックなどにおけるスクリーニング(病気のふるい分け)として広く使用されております。脳動脈瘤の危険因子の一つに家族歴があります。つまり血縁者にクモ膜下出血を起こした人がいるとリスクが高い可能性があります。もし気になるようでしたら少し料金は高めですが一度脳ドックを受けるのも良いかもしれません。

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