スキルス胃ガンを考える

健康医療

総合格闘技界のスターで小さな体にも関わらず、攻撃的なスタイルで多くのファンを魅了し「神の子」の愛称で知られた山本KID徳郁さんが41歳の若さでお亡くなりになりました。山本KID徳郁さんの件でその真意は定かではありませんが、「スキルス胃ガン」では?との報道もありました。ではスキルス胃ガンと通常の胃ガンはなにが違うのでしょうか?

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早期ガンと進行ガンの違い

上図は胃の粘膜の断面のイメージ像です。通常の胃ガン場合、一番上の層の粘膜層に発生したガン細胞は、粘膜層→粘膜筋板→粘膜下層と胃の内側から外側に浸潤します。早期胃ガンと進行胃ガンはガン細胞が胃壁のどのぐらいの深さま で入り込んでいるか(T:深達度)」という 観点から分類します。ガン細胞が粘膜下層に留まっている場合を早期ガンといいます。固有筋層を超えて浸潤する場合を進行ガンと言います。最近の治療技術の進歩で、進行ガンを含めた全てのステージでも胃ガンの5年生存率は70%を超えており、他の部位のガンよりも高い生存率となってます。特に粘膜下層に留まった早期ガンの状態なら5年生存率は90%以上で、現代ではほとんど治る病気と言われてます。

スキルス胃ガンとは

スキルス胃ガンは通常の胃ガンとは違いピロリ菌とは関係がなく、ガン細胞が粘膜の下を木の根のように浸潤していくタイプのガンです。すべての胃ガンの約10%がスキルス胃ガンで占めているとの報告があり、胃ガン全体の中で発症する頻度は少ないですが、進行ガンの中で最も悪性度の高いガンと言われてます。

発見し難い

通常の胃ガンは粘膜の上を増殖しますが、スキルス胃ガンは前述の通りガン細胞が粘膜の下を潜るように広がるため、表面の変化が小さいため内視鏡では分かりにくく、バリウムを使った検査の方が分かりやすいケースがあります。通常の胃ガンは早期から進行ガンになるまで数年かかるといわれてます。したがって、検診で毎年バリウム検査を受けて入れば比較的早い段階でガンを見つける確率が高くなります。スキルス胃ガンの場合は胃表面の粘膜に変化が表れにくいため、前年の検診では全く異常を指摘されなかったのに突然進行ガンで発見するケースが多々あります。

治療が難しい

スキルス胃ガンは発見時にすでに腹膜播種(はしゅ)*起こしており、とても治療成績が悪く「タチが悪い」ガンです。胃がん全体の死亡者数は検診体制の整備や治療技術の進歩、さらに通常の胃ガンの原因の一因と考えられるピロリ菌の除菌治療の拡大等で減少してます。しかし、、スキルス胃ガンに関しては5年生存率が10〜20%程度で膵臓ガン並みに治療が難しいガンだというです。早期で発見するのが難しいため、ガン発見時で約60%の方に転移が見られることも治療を難しくしてます。

腹膜播種
ガン細胞が臓器の壁を破り、種をまくようにパラパラと腹膜に広がることを言います。

若い女性に多い

また、通常の胃ガンはシニア世代の男性が圧倒的に多いのに対して、スキルス胃ガンは20歳代などの比較的若い女性に多いのが特徴です。僕の叔母さんが40年以上前に29歳で胃ガンで亡くなりましたが、今思えばスキルス胃ガンだったかもしれません。また、シニア世代のみなさんならご存知の方もいるかと思いますが、30年前に堀江しのぶさんという当時人気絶頂のタレントさんがやはりスキルス胃ガンで23歳という若さで突然お亡くなりました。

バリウム検査におけるスキルス胃ガンのイメージ像

まとめ

すべての胃ガンに対するスキルス胃ガンの割合は約10%と患者数も多くないので情報が少ないガンです。皆さんの認知度も低いかと思います。僕ら放射線技師は検診などでバリウムの消化管撮影業務に従事していていると1000人に1人の割合でガンを発見するといわれてます。スキルス胃ガンいたっては1万人に1人の割合でしか遭遇する機会がないめずらしガンになります。

認定NPO法人 希望の会による「もしかしたらスキルス胃がん」がとてもわかりやすく書かれたスキルス胃がん冊子になってます。

認定NPO法人 希望の会 「もしかしたらスキルス胃がん」 より引用

消化管

胃ガンを考える

2018年9月25日

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